第240首 名人とかるたで話したい

瑞沢部員や千早両親がいる選手控室に、太一も合流。芹沢読手の序歌から、第五試合が始まる。若宮が四連取。札の神様に語り掛けるように、千早に札を送る。

行っといで みんな 迎えに行くさかい 呼んでね うちを

札の神様が千早を見上げている。若宮の視線も千早の方に向く。千早は集中している。「めぐりあいて」と「よをこめて」は千早の連取。二枚の札が積み重なり、若宮の目には紫式部と清少納言が喧嘩しているように見えて、険しい表情となる。そんな若宮を、紫式部と清少納言が笑う。

あら あんた そんな怖い顔 ふふふ うちら この子のかるたも好きやで

千早が送ったのは「ちは」。


名人戦側は互角の戦いから、周防が「た」札を二枚連取。新が唐突に口を開く。

「周防さんの趣味って なんですか?」

五試合も戦ったのに周防のことを何も知らないからと、赤面しつつ補足する新。周防は次の「もも」を取り、札を拾いがてら答える。

「趣味 キャンプ」

一字決まりとなった「もろ」を、周防が難なく取る。新はまた質問。

「か 彼女はいますか?」

顔を覆ってめそめそ泣き真似をしつつ、「ひさ」も取る周防。

新は口下手で、村尾は「神様は新はそれでいいと言ってくれとる」と擁護してくれたが。

ほれでいいって言うてくれてたのは 友達やよ ほやけどもう変わらな

千早、太一、そして由宇。そのうちの一人、「ちはや」の襷を締めて、新が周防陣から「む」を抜く。

誰かのイメージじゃない 誰かの真似じゃない おれはおれの強さのまま 名人とかるたで話したい

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memo

五試合目序盤。新が周防にかるたとは無関係の雑談を吹っ掛けるが、試合中のマナーとしてはどうなんだ……? 答える周防が面白いけれど、新の行動に私は賛同しかねる。そこから得意の渡り手を繰り出せず、「もも」「もろ」を取られているし。周防とキャンプはイメージが結びつかないが、第107首でサイドカー付きのバイクに乗っていたくらいだから、意外とアウトドア派? ソロキャンプなら似合いそう。

太一が控室に戻って来た際、菫も一緒に入室。前話で太一を引き留めた広史さんは原田先生と浦安の間か朝日の間で観ている様子が描かれているので、その後の太一を菫が拾って来たのだろうか。何か話をしていそう。

村尾の「神様は新が~」は、新にはかるた絡みでの友達しかいないという指摘で、第192首に登場した会話。それを受けて新が、それで良いと言ってくれたのは(神様ではなく)友達、と独白しているが、第10首にて千早と太一が福井まで行った際の千早の手紙に書かれていた「神様じゃなくて友達でいたいよ」を思い起こさせる。

読まれた札は「あきのたの」「あさじうの」「ありあけの」「みよしのの」「めぐりあいて」「よをこめて」「たきのおとは」「たかさごの」「ももしきや」「もろともに」「ひさかたの」「むらさめの」。作中で「た」札について触れられているが、千早陣に「たち」があるのが大盤から見て取れる。他の注目しておきたい札では、詩暢陣に「あらざ」「おおえ」「せ」、新陣に「せ」「たち」「たご」「わた・こ」が描かれている。

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